◆物語内会話4◆花沢類と主人公

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波乱の初登校を終えた夜、私は自分の部屋でぐったりとのびていた。
(やっぱりあんなセレブな学校、私には向いてないよ・・・)

 

鞄からウサギのキーホルダーを取り出し、深く息を吐く。
ウサギは剣道着を着ており、その背中には前の学校の校訓である『一本道』の文字が刺繍されている。

 

その文字を見ていると、私はなんだかやるせない想いにかられるのだった。
英徳学園生活2日目。

 

今日もカフェテリアでは、すべての生徒がナイフとフォークを手に優雅に食事をしている。
(これ、どうやって使えばいいの?)

 

エスカルゴフォークの使い方がわからず手こずっていたところ、ツルッ・・・
手が滑った拍子にエスカルゴが宙を舞う。

 

「わっ!」
通りかかった生徒に降りかかる前に必死に手を伸ばしてエスカルゴをキャッチ。

 

「ふう・・・」
しかしその時、私のジャケットの袖のボタンと相手のカーディガンのボタンが引っかかってしまったらしい。

 

腕を引いた瞬間、ブチッという音がして、相手のボタンが取れてしまった。
「ご、ごめんなさい!」

 

顔をあげると、そこには見覚えのある顔がある。
(あ、この人・・・)

 

それはf4の1人で、昨日、木下で眠っていた男子生徒だった。
「すぐにボタンつけますね・・・!」

 

(鬼里谷さんが用意してくれた通学用具一式に、確かソーイングセットがあったはず)
花沢類「・・・別にいいけど」

 

「すぐ終わるので!」
男子生徒は面倒くさそうにカーディガンを脱ぎ、私は大急ぎで取れたボタンを付け始めた。

 

すると、何処からともなく聞こえてくるヒソヒソ声。
女子生徒A「あの子、花沢さまのカーディガンを膝に載せたりして何してるの?」

 

女子生徒B「馴れ馴れしい子ね」
周囲からの射るような視線を浴びながらも懸命にボタンをカーディガンに縫い付けていると、花沢さんの後ろから、昨日、送った私を校舎まで連れていってくれた2人が興味深げに顔をのぞかせる。

 

名前は西門(にしかど)さんと美作(みまさか)さん。
西門総二郎「何してんの?類」

 

美作「あ~!ボタン縫ってもらってる~!」
「私の不注意でボタンが取れてしまって・・・あ、もう少しで終わりますから」

 

花沢類「・・・」
美作「お手伝いさんしかこういう事できないと思ってた。若いのに君、偉いね」

 

物珍しそうに皆に見つめられながら、私はどうにかボタンを付け終えた。
「できた!」

 

意気揚々とカーディガンを広げる。
花沢類「え・・・」

 

「え?」
西門総二郎・美作あきら「・・・」

 

彼らの目が点になっているのであらためてカーディガンを見おろしてみると、なんとスカートも一緒に縫い込まれてしまっていた。
(はっ・・・!)

 

3人が一斉にプッと吹き出す。
西門総二郎「下手くそ!」

 

(お母さんは器用だったのにな・・・)
パタンナーとして活躍していたお母さんが、ボタン付けすらまともに出来ない娘を見たらどう思うだろう。

 

肩を落とし縫い糸をハサミで切ったところで、不機嫌そうな声が降ってくる。
道明寺司「なんで、こんなつまらない女取り囲んでる」

 

顔をあげると、そこはこの学園の支配者、道明寺さん。
美作あきら「カーディガンとスカートを一体化したりして、けっこう面白いよこの子」

 

西門総二郎「それになんか可愛い。ねえ、携帯番号教えてくんない?」
「えっ・・・私の番号、ですか?」

 

(西門さんと美作さんは優しそうだし・・・学校に友だちはいたほうがいいか)
西門総二郎「ほらほら、早く」

 

急かされて慌てて携帯電話を取り出したその時、ウサギのキーホルダーが鞄から落ちてしまう。
道明寺司「・・・?」

 

怪訝そうにキーホルダーを拾い上げ、道明寺さんはクッと苦笑をもらした。
道明寺司「だっせー」

 

「か、返してください!」
手を伸ばすも道明寺さんはスッとかわし、マスコットの裏を見て顔をしかめる。

 

道明寺司「県立○×高校・・・?」
「前に通ってた・・・学校です」

 

西門総二郎「え・・・県立?」
道明寺司「そんな庶民がどうやって英徳に入った」

 

「えっと、それは・・・」
道明寺さんの威圧感に負け、私は母親が亡くなって父親に引き取られた経緯を話し始めた。

 

すると、道明寺さんは驚いたように口を開く。
道明寺司「お前、元庶民なのか?」

 

その声はカフェテリアじゅうに響き渡り、まわりの生徒から罵るような声が次々に聞こえてくる。
女子生徒A「やだ、生まれついての令嬢面して英徳に入り込んだのね」

 

女子生徒B「こんなすぐに化けの皮が剥がされるとはね。どうりで貧乏人くさいと思ってた」
(あーあ・・・お先真っ暗かも・・・)

 

不安は的中、翌日から私はどこにいても周囲から好奇の視線を浴び、陰口を叩かれるようになってしまった。
(この学園の生徒はみんな、れっきとした裕福な家庭の子ばかり)

 

(たとえ学費を払う経済力はあっても・・・私みたいな境遇の人間は仲間には入れてもらえないんだ)
教室でも廊下でも、校内のどこにいても誰かから噂されてしまう。

 

堪らず非常階段に避難したところ、そこには先客がいた。
「花沢・・・さん?」

 

長い脚を会談の下へ伸ばし、ぼんやりと座っていた花沢さんは、静かにこちらを振り返る。
花沢類「・・・なんか、元気ないね」

 

「逃げてきたんです・・・どこにも居場所なくて」
花沢類「なんで?」

 

「えっ・・・」
(昨日のこと、忘れてるのかな)

 

花沢類「ああ・・・元庶民ってやつ?」
「・・・はい。やっぱり私は、この学園にはそぐわないみたいですね」

 

花沢さんは少し考えるように口をつぐんだ後、ボソリと言う。
花沢類「俺はあんたがどういう家に育ったとか、どうでもいいけど」

 

花沢類「他人が口出すことじゃないでしょ」
「・・・」

 

素っ気ない口調ながら、花沢さんの言葉がじんわりと心にしみる。
(なんか・・・泣きそう)

 

涙を堪えるため、私は慌てて青空を見つめ、明るい話を探す。
「私・・・どれだけ陰口を叩かれても、女手一つで私を育ててくれた母の生き方を尊敬してるんです」

 

花沢類「それって・・・どんな生き方?」
その時、ふと思い出したのは母の凜とした面影。

 

母「自分を信じること、信じられる自分でいることが大事なの」
母「そうすれば、後悔はやってこない」

 

「・・・後悔しない生き方」
花沢類「・・・」

 

花沢さんは何も答えず、またぼんやりと景色を眺めるのだった。

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2017-8-8

今までありがとうございました

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